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『シェール革命──夢想家と呼ばれた企業家たちは いかにして地政学的変化を引き起こしたか』
『シェール革命
──夢想家と呼ばれた企業家たちは
いかにして地政学的変化を引き起こしたか』

著:グレゴリー・ザッカーマン
訳:山田美明
解説:小山 堅
刊行日:2022/04/12
A5判(210×148mm) 並製
486ページ。本文1色刷
ISBN:978-4-903063-93-5 C0030
2700円(税込2970円)

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世界情勢を激変させた
エネルギー業界のイノベーターたちの物語

米国を「エネルギー大国」の地位に押し上げ、
世界情勢に劇的変化をもたらしたシェール革命。
この重大な革命は、誰によって、いかに成し遂げられたのか?
内幕をドラマチックに描く。

「フィナンシャル・タイムズ」、『エコノミスト』、『フォーブス』の3紙誌が「年間ベストブック」に選出。

「ザッカーマンはフラッキング事業者たちの壮大な冒険を詳細かつ巧みに描いている。現代世界を動かす根源的な力を理解したい人は、ぜひ本書を読むべきだ」──『フォーブス』誌
「独創性、虚勢、巨万の富の追求を描いた、アメリカの昔ながらの物語」──「フィナンシャル・タイムズ」紙


概要

2010年頃から本格化したシェール革命によって、米国は自国の地中深くにある原油・天然ガスを利用できるようになり、またたく間に「エネルギー大国」となった。米国が中東の原油に依存する必要がなくなったことは、世界情勢に多大な影響をもたらした。米国産シェールに対抗すべく、サウジアラビアとロシアが手を組んだ「OPECプラス」の設立、米軍のアフガニスタン撤退、ウクライナ危機……。

激変の引き金となり要素となった「シェール革命」を成し遂げたのは、しかし、当初“夢想家”と嘲笑されていた、無名の企業家たちだった。彼らは時に破綻(はたん)寸前になりながら、並外れた執念、豪胆さ、革新力で、前人未踏の事業を成功に導いていく。
地政学的変化を引き起こした“偉大なる山師たち”の、波乱万丈のストーリー。

<著者>
グレゴリー・ザッカーマン(Gregory Zuckerman)
「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙の特別ライター。ノンフィクション作家。
著書に『史上最大のボロ儲け──ジョン・ポールソンはいかにしてウォール街を出し抜いたか』(CCCメディアハウス)、『最も賢い億万長者──数学者シモンズはいかにしてマーケットを解読したか』(上下巻、ダイヤモンド社)など。前記2冊はいずれもベストセラーとなった。経済・金融ジャーナリストの最高の栄誉とされるジェラルド・ローブ賞を3度受賞。妻と2人の息子とともにニュージャージー州に在住。

<翻訳者>
山田美明(やまだ・よしあき)
英語・フランス語翻訳家。東京外国語大学英米語学科中退。
訳書に、グレゴリー・ザッカーマン『史上最大のボロ儲け──ジョン・ポールソンはいかにしてウォール街を出し抜いたか』(CCCメディアハウス)、ジョセフ・E・スティグリッツ『スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM』(東洋経済新報社)、エマニュエル・サエズ+ガブリエル・ズックマン『つくられた格差――不公平税制が生んだ所得の不平等』(光文社)、レベッカ・クリフォード『ホロコースト最年少生存者たち──100人の物語からたどるその後の生活』(柏書房)、他多数。

<解説者>
小山 堅(こやま・けん)
一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 専務理事・首席研究員。
著書に『国際エネルギー情勢と日本』(共著、エネルギーフォーラム)、編書に『シェール革命再検証』(エネルギーフォーラム)など。University of Dundee博士(Ph.D.)。

原著:The Frackers──The Outrageous Inside Story of the New Billionaire Wildcatters, Enlarged paperback edition, 2014


 

目次

●第一部 突破口

第一章
ジョージ・ミッチェル、ただ会社存続のために/移民の息子/フラッキング/新技術をいち早く/オイルショックに救われる/環境問題、再生可能エネルギー、持続可能性への傾倒/ガス田の枯渇/山師ドヴォリン/大手シェブロンの参入 
第二章
新たな王、ハウプトフューラー/社長の娘婿/水平掘削という技術革新/掘削法小史/水平掘削がもたらした成功/失策/転落
第三章
ミッチェル・エナジーの不動産事業/エクソンから来た男/バーネット・シェールに賭ける/常識外れの方法、スリック・ウォーター・フラッキング/シェブロンの躍進と限界/地質学者ボウカー 
第四章
一九九八年、決定的瞬間/ボウカー、一世一代のプレゼンテーション/ものすごい量!/山師ドヴォリンの命運/ミッチェル・エナジー、自社売却を探る/オクラホマ州の二人 

●第二部 競争

第五章
共同創業者/トム・ウォード、不遇な環境から/オーブリー・マクレンドン、名家の一員/手を組む/株式公開/マクレンドンとウォードの二面性/絶体絶命 
第六章
ハロルド・ハム/田舎の赤貧家庭/石油産業との出会い/情熱を傾けられるものを/二〇歳で独立/業界の大物になる/まるで闘犬/地質学者スターク/大当たりを求めて/原油価格、下落/バッケン・シェールを掘削せよ 
第七章
シャリフ・スーキ/エジプト生まれ、レバノン育ち/中東コネクション/さまざまなビジネス/エネルギー業界へ/シェニエール・エナジー/型破りなアイデア 
第八章
チェサピーク、天然ガスに賭ける/ライバルが気づく前に/地権交渉人という仕事/シェール開発の新手法──水平掘削後のフラッキング/シェール層での出遅れを取り戻せ/マクレンドンとウォードの違い/バーネットの成功を他のシェール層でも/老山師ミッチェルの野心/コンティネンタル、バッケン・シェールを掘る/スーキの奔走 
第九章
チェサピークの巨額買収/エネルギー業界のビル・ゲイツ/膨れる資産/利益相反取引?/エネルギー王らしく財産を使う/ウォードのストレス/袂を分かつ/コンティネンタルはノースダコタで/試行錯誤/マーク・パパのEOGリソーシズ/シェニエールへの追い風 
第一〇章
強気のマクレンドン/散財/あとには引けない/ウォードの復/コンティネンタルvs. EOG/多段階フラッキング革命/コンティネンタル、上場を追求/スーキ、実業界の花形に/異変/パパ、方針転換
第一一章
ジョージ・ソロスらとの会食/マクレンドン帝国の拡大/アメリカ屈指の大富豪/ウォードと新会社/シェール層からの原油採取/パパ、原油採取に賭ける/マーセラス・シェール/シェニエール株、急落 
第一二章
マクレンドン、惨憺/ウォード、窮境/コンティネンタル、悪夢再来/EOG、挫折/スーキ、破綻寸前 
第一三章
特別賞与/バック・トゥ・ザ・フューチャー/ウォードの新計画/薬物依存/反対運動/ハムの余裕/切迫した問題/突然の利益/シェール革命の本格化/マクレンドンからの提案/妄想じみた楽観
第一四章
EOG、秘密を明かす/大手の参入/シェール長者/ウィリアム・バトラー/映画『ガスランド』/「フラック・ユー!」/コンティネンタル、躍進/「アメリカは、二一世紀のサウジアラビア」/ノースダコタの石油ブーム/天然ガスの輸出?
第一五章
チェサピーク、再拡大/反対運動の広がり/マクレンドン、業界最上層に返り咲く/変調/ウォードへの批判/供給過剰/アイリッシュ一家 
エピローグ 

あとがき
環境問題/世界的な視点から──シェール革命は続く/相も変わらぬ新たな時代/「山師の時代」の終わり?/ロシア、ウクライナ領クリミア半島を併合

謝辞
原書刊行以後の関連事項

解説 「シェール革命」がもたらした巨大な変化 小山 堅

原注
索引

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