目次
はじめに
第一章 道鏡という名のファロス
今日も生きる道鏡伝説/江戸の川柳にみる道鏡/道鏡と孝謙天皇のペア/呆れる内容の川柳/道鏡、「和製ラスプーチン」として映画になる/「処女天皇」との運命の出会い/孝謙上皇の帝権分割宣言/怒りに火をつけたもの/「エリート僧」道鏡/言ってはならぬことを言う/鑑真上人の「心眼」/異例の出世のはじまり/朝廷内の微妙な空気/「道鏡に野心はない」……?孝謙上皇、再び天皇になる/「逆賊道鏡」のリアル/「仏教に淫した」天皇たち/天皇を看取とった禅師集団/「父親っ娘」孝謙の悲しみ/『大般若経』を読ませる/仏教は古代の「グローバル民主主義」/日本史上初・尼天皇の誕生/「法王道鏡」、正月の拝賀を受ける/宇佐八幡宮の神託と孝謙/最後の行幸の宴/孝謙の死と道鏡の追放/「掟破りの八年」の幕が下りる/「怪物」道鏡、死す/道鏡の「よかったこと」/口は災いの元/道鏡伝説のはじまり/「恐ろしいお方」の歌/高僧と貴婦人たち/「道鏡と孝謙」の奇妙な復活
第二章 「イザナキ・イザナミ」神話の原風景
『古事記』の国生み神話/不都合な真実/女が先に口をきくと……/セキレイの教え/琉球の「アダムとエヴァ」伝説/性のいとなみと罪の意識/神話をこえてさかのぼる/豊穣と生殖の重ね合わせについて/『古ヨーロッパの神々』/縄文土偶が物語る精神文化/ストーンサークルに立つ日時計/ブリテン島の先史遺跡/ホモ・サピエンスの認知の普遍性/石棒の出現/スピリチュアリズムではない……?/「父系優先思想」の遠いウブ声/信州佐久の縄文人たち/「霊」と「神」の定義とは/縄文人の死生観の特色/石棒と石皿が明かすもの
第三章 男と女が柱を廻るとき
孝謙女帝がみた歌垣/ペー族の求愛の行事/「高く屹立したもの」の周囲を廻る/orgy(オージー)の訳語について/『古事記』はエロティックか?/一九三〇年代の国粋主義者/「これは見せてはならぬもの」/ホコとは男根のこと/センシティブな話題/「天の御柱」の元をたどる/インテリと民衆/ファロスを祀る習俗/金精大明神をめぐる騒動/消失した雑魚寝文化/祭りの夜のパートナー/神話は楽しむもの/現代の「男系・女系天皇論争」/男性原理の崇拝の起源/天孫降臨神話の男女対決/異形の神を圧倒/飛鳥坐神社の奇祭/天狗の赤い鼻/「敗北する男根」の神サルタヒコ/清少納言の死と猟奇伝説/新たな挑戦
第四章 乱交、そしてイケニエ……
びぼうずとコスプレ/江戸歌舞伎の道鏡/道鏡が地獄に落ちなかった訳/『新猿楽記』の白太主/男女和合の聖天様/神社の「穢れた悪臭」とは/「神々によるご利益はなかった」/死骸の骨や肉を埋める/ガス抜きとしての乱交/近親相姦の禁止令/獣姦の風習について/「大悪天皇」雄略の食べた物/イケニエの風習はあたりまえのもの/妊婦の呪的なパワー/仏罰への怖れ/神道の穢れの起源は仏教/「女人不成仏」思想の登場/フェイク・ニュースの巨匠
第五章 『ジャータカ』説話の女たち
『ジャータカ』のデーヴァダッタ/前世で猿だったブッダ/兄弟で人肉を分け合う/「殺されるべきは悪女なり」/不浄の烙印を押された生き物/「極楽浄土に女はいない」/「月の障り」という読み替え/親鸞は女性差別論者?/?帰命頂礼血盆経……/どうすれば女は救われるのか?/『沙石集』の妊婦/本地垂迹説の論理/孝謙の治世の評価/女は淫慾の巣か
エピローグ 竹原の地に道鏡・孝謙の祠を訪ねて
各章の注
参照文献
おわりに
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