サイエンス入門
T・U巻の構成
[T] 第1講 エネルギーと仕事率と爆発の物理 第2講 原子と熱 第3講 重力と力と宇宙 第4講 原子核と放射能 第5講 連鎖反応と原子炉と原子爆弾 第6講 電気と磁気 第7講 波──UFO、地震、音楽など
[U] 第8講 光 第9講 不可視光 第10講 気候変動 第11講 量子物理学 第12講 相対性理論 第13講 宇宙
U巻目次
本書を読む前に 15
カラー図版 17
第8講
光 33
@ 光のハイテクへの応用例 34
A 光とは何か 36
光は電場と磁場からなる波 36
光の波は超高速で振動している(周波数がひじょうに高い) 38
(光)通信の基礎理論──「情報理論」 39
光ファイバー 42
B 色と周波数 43
光の周波数の違いは「色」の違いとして現れる 43
人間の目に備わっている4 種類のセンサー 45
コンピュータスクリーン上の白はニセの白 47
色覚異常──目のセンサーの異常 48
4 種類の色センサーを持つ人も実在する 48
1000 種類もの色センサーを持つものもある
マルチスペクトル・カメラ 48
知覚に関する答えのない議論 49
C 画像とは何か 50
ピンホールカメラ──画像をつくるもっとも単純な装置 51
カメラに似ている人間の目の仕組み 53
D 鏡──その驚くべき特性 55
反射鏡 56
◎レーダー反射鏡 57
◎月の反射鏡 58
E 低速光──真空中の光速度より遅い光 60
真空中の光速度÷物質中の光速度=屈折率 62
光の速度の違いによって生じる幻覚──蜃気楼 62
白い光がさまざまな色に分離する「光の分散」は、
ダイヤモンドの美しさの秘密 64
プールの底の物体が浅いところにあるように見える理由
──光の屈折 66
虹ができる仕組み──光の分散が原因 67
F レンズ──拡散する光を一点に集めることができる 69
G 目の構造──2つのレンズが備わる 70
近視と遠視(老眼)のメカニズム 71
赤目現象と明るい道路標識──いずれも光源の方向へ反射する光 72
H 望遠鏡と顕微鏡──レンズで画像をつくる装置 73
ケック天文台とハッブル望遠鏡 74
I 光の拡散──回折 75
拡散の量(解像度)を求める方程式 75
偵察衛星──ハッブル望遠鏡を例にしたの解像度の計算 77
人間の目の解像度の計算 78
J ホログラム──鏡像を定着させたもの 79
K 偏へん光こう──特定の方向にのみ振動する光波 80
偏光の利用例──ポラロイドサングラス 82
交差偏光──物体の壊れやすい部分を見つける 83
偏光の利用例──液晶とLCD 84
偏光の利用例── 3D ムービー 84
第9 講
不可視光 87
@ 暗闇の中の不法入国者を暗あん視し 双眼鏡で見た話 88
A 赤外線放射 90
暗視双眼鏡が感知していたのは人体が放射する赤外線 90
熱放射と温度 92
◎赤熱 92
◎白熱 93
◎青白 93
放射の総量は温度の4 乗倍に比例する 94
◎タングステン電球の放射 96
◎加熱ランプと「熱放射」(赤外線) 96
どうして不法入国者の姿が暗闇の中で見えたのか 97
赤外線探知による地球の表面温度の測定 98
赤外線を利用する気象衛星 99
赤外線を利用する軍事用の特殊光学装置 99
赤外線放射物体を追尾するスティンガーミサイル 100
赤外線を感知するマムシと蚊 101
赤外線リモコン 102
煙や塵ちりを透視する
──消防の現場と天文学における赤外線の利用 103
B 紫外線 103
強い紫外線を出すブラックライト 103
紫外線と日焼けとガン 104
紫外線殺菌灯 105
浄水場での紫外線利用
──発展途上国に安くて清潔な水を供給する 105
C 紫外線とオゾン層 106
紫外線から人間を守るオゾン層の減少 106
オゾン層を破壊していたフロン(CFC) 109
D その他の電磁放射 110
電波── AM、FM、テレビ 110
マイクロ波とは 112
マイクロ波の例──レーダー 113
マイクロ波の例──電子レンジ 114
X 線とガンマ線 114
E 医用画像の撮影における電磁波の利用 116
X 線画像 116
MRI(旧称NMR) 119
CAT スキャン(コンピュータ断層撮影) 121
PET スキャン(陽電子放出断層撮影法) 121
サーモグラフィー 124
超音波画像診断 124
F 超音波──コウモリと潜水艦の例 125
第1 0 講
気候変動 129
@ 地球温暖化 130
今後50 年で気温が摂氏15 〜 5 度上昇する(最良推定値) 130
まずIPCC による科学的「コンセンサス」
を正しく知ることが重要 132
1850 年〜 1950 年までの気温上昇
──自然な原因による可能性が高い 134
1957 年〜現在までの気温上昇
──人間活動が原因である可能性が90 パーセント 135
1850 年以前の気温の推定値 136
二酸化炭素とは 139
大気中の二酸化炭素量── 20 世紀に36 パーセント急増 140
温暖化の原因となる温室効果とは何か 142
温室効果の増大──大気中の二酸化炭素と水蒸気の増加が原因 145
極地の温暖化がもっとも大きい 147
温暖化に関する数々の誇張 147
ハリケーン・カトリーナが温暖化によって生じたとする誇張 148
温暖化で竜巻が増加しているとする誇張 151
温暖化で南極の氷が融けているとする誇張 153
人為的な地球温暖化と自然現象としての地球温暖化を
分けて議論するのが重要 155
それでも90 パーセントの確率で人間活動による
温暖化が生じている 156
地球温暖化を止めることはできるのか
──世界のエネルギー需要予測を考慮して 156
化石燃料資源はまだまだ枯渇しない 161
石炭と水から石油をつくる──フィッシャー・トロプシュ法 163
A 解決策 164
エネルギーの効率化と省エネルギー 165
クリーンな石炭 167
バイオ燃料 169
風力発電 170
太陽光エネルギー 171
◎太陽熱発電 171
◎太陽電池(PVC) 173
第1 1 講
量子物理学 175
@ 量子物理学とは 176
コピー機、デジカメ、コンピュータ──
ハイテクの多くが量子物理学の応用技術 176
キーワードは「波と粒子の二面性」 176
A 電子波 178
電子は波。その周波数は「アインシュタインの方程式」で
算出できる 178
原子の中では、電子の波は自身に重なり
自身の存在を打ち消す危険性がある? 180
原子の中では、電子エネルギーは特定の値になる
(「量子化」される) 180
◎軌道に縛られていない電子のエネルギーには制限がない
(量子化されない) 182
量子飛躍──特定の軌道から軌道への電子の移動
(エネルギー変化を伴う) 183
◎放出される光のエネルギー値は
「アインシュタインの方程式」で算出できる 183
◎量子飛躍で放出される光のエネルギー値、周波数、
色は限定される 184
◎量子飛躍の制約を受けない(軌道に縛られていない)電子の
エネルギー値、周波数、色は特定の制限を受けない 185
◎色を「指紋」として活用する 186
光子とは──光の量子。
光の最小エネルギー量 hf を「光子1個」とみなす 187
B レーザー──量子連鎖反応 188
レーザー生成に利用される「誘導放出」の原理とは 189
「光子(光の量子)の連鎖反応」の原理を利用した
さまざまなレーザー 190
レーザー光の特殊な性質──光子の周波数と方向が同じ 191
レーザーによる計測 194
バーコードを読み取るスーパーマーケットのレーザー 195
CD やDVD にもレーザーが利用されている 196
レーザー洗浄 197
レーザー兵器 198
レーザーの制御熱核融合への利用 199
レーザー眼科手術 200
C 光こう電でん効果 202
光電効果は原子中の電子に光子がぶつかり電子を弾き出す現象。
電流生成などに利用される 202
太陽電池 202
デジタルカメラ 205
光ファイバー──ノイズを避けるには高い出力も必要 207
画像増強管と暗視装置 208
コピー機とレーザープリンター 210
D ガンマ線とX 線 211
ガンマ線のエネルギーは可視光の光子の500 万倍。
X線は2万倍 211
E 半導体トランジスタ 213
半導体トランジスタは2 つの異なる特性の半導体を接合したもの。
特性の差を利用する 213
F ダイオード・トランジスタ 215
ダイオード・トランジスタは交流電流を直流電流に
変換する「整流器」 215
発光ダイオード(LED)
──光子放射で全エネルギーを一度に失う 216
レーザー・ダイオード──誘導放出を利用 218
G トランジスタ 219
トランジスタは半導体を使った増幅器 219
1 個のシリコンチップに多くのトランジスタを搭載する
コンピュータの集積回路 221
◎自由選択学習:論理ゲートについて 223
H 超伝導体 224
抵抗ゼロの秘密は、エネルギーギャップにあった 224
I 電子顕微鏡 227
J 量子物理学をもっと深く知る 229
光子は本当に存在するのか 229
光は波。だが放出されるときと吸収されるときは粒子になる 231
その他の波(水すい波は は 、音波、電波など)も
量子化されるのか? 232
地球の軌道は量子化されるのか? 233
波と粒子の二面性 234
不確定性 235
エネルギーの不確定性 236
光波のどこで電子が弾き出されるかを
確定予測することはできない 237
それでもエネルギーは保存されるのか 239
◎自由選択学習:不確定性原理のくわしい説明 240
K トンネル現象 242
粒子がエネルギー保存則を破ったように見える現象 242
トンネル現象の例──アルファ放射能 242
応用例──走査トンネル顕微鏡(STM) 244
太陽の核融合もトンネル現象による 246
L 量子コンピュータ 247
不確定性原理を利用する。実用化できるかは不明 247
第1 2 講
相対性理論 251
@ 時間に関する筆者と学生の対話 252
相対性理論の核心は、時間と空間の性質 253
◎特殊相対性理論と一般相対性理論 254
A 「4 次元」に深い意味はない 255
B 時間の膨張 257
物体の移動速度が上がると時間が
膨張する(時間の進み方が遅くなる) 257
◎「アインシュタイン因子」で、
時間が進むペースを計算できる 259
◎自由選択学習:数学で遊びたい人のための練習問題 261
でも……でも……どうして速度によって時間が変わるのか? 262
すべての運動が相対的というわけではない 263
◎自由選択学習:慣性系 263
C ローレンツ収縮 264
物体の移動速度が上がるとその物体の長さが縮む 264
D 相対速度 266
移動する物体同士の相対速度はつねに光速以下になる 266
光速度の不変性 268
◎自由選択学習 268
E エネルギーと質量 270
物体の質量は速度によって変わる 270
◎まとめ─物体が動いているとき、時間は遅くなり、
長さは縮み、質量は増大する 271
◎ E=mc2 ──物体が持つエネルギーの計算式 271
◎静止エネルギー──粒子(物体)は静止状態でも
膨大なエネルギーを持っている 273
◎陽子の静止エネルギーは938 メガ電子ボルト、
電子の静止エネルギーは0511 メガ電子ボルト 274
◎反物質エンジン──電子と反電子、陽子と反陽子を
反応させる究極のエネルギー生成法 275
光子の静止質量はゼロ(静止エネルギーもゼロ) 276
◎ガラスの中を進むときには光子の静止質量は
ゼロではなくなる 277
◎質量ゼロの粒子は年をとらない 278
◎ニュートリノには質量があるのか 279
◎なぜ光速に達することはできないのか 280
◎ E=mc2 と原子爆弾 281
◎超光速粒子タキオン──存在するかは不明 281
◎自由選択学習:タキオンの数学 283
◎自由選択学習:虚数 285
同時性──2つの事象が同時に起きているかどうかの測定は
原理的に不可能? 286
F 一般相対性理論──重力の理論 288
速度が空間と時間を変えるように、質量とエネルギーも空間と
時間を変える 288
相対性理論の実用的用途── GPS への応用 290
G 時間に関する根本的な疑問 292
◎疑問に対する答え 294
第1 3 講
宇宙 295
@ 宇宙についての疑問 296
A 太陽系 297
46 億年前の星の爆発で誕生 297
彗すい星せい──惑星群の外側で活動 299
ネメシス──まだ見ぬ太陽のパートナー 299
ほかの恒星系(太陽系外)の惑星 300
B 銀河 301
わたしたちの銀河(=天の川銀河)とアンドロメダ銀河 301
そのほかの銀河 303
暗黒物質──宇宙の質量の大部分を占める正体不明の物質 304
◎暗黒物質の候補──ウィンプ 305
◎暗黒物質の候補──マッチョ 306
通信可能な地球外生命が存在する確率を計算する 306
C 宇宙を見ることは過去を見ること 308
D 膨張する宇宙 310
宇宙は発はっ酵こうしてふくらむ
干しブドウ入りのパンのようなもの 310
宇宙の膨張の仕方を表す「ハッブルの法則」 312
E 暗黒エネルギー 313
宇宙の膨張を加速させる未知のエネルギー 313
F 宇宙の始まり 315
140 億年前のビッグバンで誕生 315
ビッグバン 316
ビッグバン理論の物理的証拠── 3K 宇宙マイクロ波放射 317
元素の創生と生命の誕生 319
ブラックホール 320
宇宙は無限か有限か? 322
「ビッグバン以前の宇宙」はありえるのか 324
G 万物の理論 325
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