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『CHINA AND THE WEST
中国はリベラルな国際秩序に対する脅威か?』

『CHINA AND THE WEST
中国はリベラルな国際秩序に対する脅威か?』

著:H・R・マクマスター 
  マイケル・ピルズベリー
  キショール・マブバニ
  王 輝耀
  ラッドヤード・グリフィス
訳:舩山むつみ
解説:佐橋 亮
刊行日 2020/4/26
四六判(188 × 128 mm) ソフトカバー
211 ページ。本文1 色刷。
ISBN978-4-903063-92-8 C0031
1680円(税込1848円)

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米中を代表する論客が
公開ディベートの場で大激論!

世界的に知られる公開討論イベント
「ムンク・ディベート」での舌戦の模様を収録。
生の議論を通じて、問題の核心がわかる。
さらに巻末に、30 ページ超の長文解説を収載。

 

<著者紹介>
◎討論者
H・R・マクマスター(ハーバート・レイモンド・マクマスター)
H.R. McMaster Raymond(Herbert McMaster)

元・国家安全保障問題担当アメリカ大統領補佐官(2017年2月〜18年4月。トランプ政権)。
その後、ハドソン研究所の日本部長。
フーバー戦争・革命・平和研究所のシニア・フェローでもある。
軍事史の博士号をもち、「タイム」誌の「世界で最も影響力をもつ人々」の一人に選ばれた。
ベストセラーとなった『職務怠慢──リンドン・ジョンソン、ロバート・マクナマラ、統合参謀本部、そしてベトナム戦争を引き起こした嘘』(未訳)(Dereliction of Duty: Lyndon Johnson, Robert McNamara, the Joint Chiefs of Staff and the Lies That Led to Vietnam)の著者。
1962年生まれ。

マイケル・ピルズベリー Michael Pillsbury
ワシントンDCのハドソン研究所中国戦略センター所長。
中国に関する権威として知られ、
中国との関係に関するアメリカ政府の重要なアドバイザーでもある。
コロンビア大学で博士号を取得、
国連やランド研究所でも重要な役職を務めた。
『China2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』
(日経BP社)の著者。
1945年生まれ。

キショール・マブバニ Kishore Mahbubani
国立シンガポール大学上級顧問兼公共政策教授。
知識人・論客として、世界的に名を知られている。
シンガポールの外交官として、カンボジア、マレーシア、
アメリカ合衆国、国際連合に駐在。
国連安全保障理事会議長を務めた。
著書に、『「アジア半球」が世界を動かす』北沢格 訳、緒方貞子 解説(日経BP)、
『西洋は終わったのか?』(Has the West Lost It?)(未訳)など。
1948年生まれ。

王輝耀(ワン・フイヤオ) Huiyao Wang

中国の主要な独立シンクタンクの一つである
「中国とグローバル化シンクタンク」の創設者で会長。
ウェスタン大学とマンチェスター大学で学び、
国際ビジネス経営学の博士号を取得。
ハーバード大学ケネディー公共政策大学院とカナダの
アジア太平洋財団のシニア・フェローだった。
多くの著編書があり、「中国新聞週刊」誌による
「2018年最も影響力のある人々」の一人に選ばれた。
1958年生まれ。

◎司会および原著編集者
ラッドヤード・グリフィス Rudyard Griffiths

ムンク・ディベートの司会者であり、オーリア慈善財団のプレジデント。
2006年には、「グローブ・アンド・メール」紙によって、
カナダの「40歳未満のトップ40」の一人に選ばれた。
歴史、政治、国際問題についての13冊の本を編集し、
そのうち、『私たちは何者なのか──市民のマニフェスト』(Who We Are: A Citizen’s Manifesto)(未訳)は
「グローブ・アンド・メール」紙の「2009年ベスト・ブック」に選ばれ、
政治関係の著作を対象とするショーネシー・コーエン賞の最終候補にもなった。
妻と二人の子とともに、トロントに住んでいる。
1970年生まれ。

<訳者紹介>
舩山むつみ(ふなやま・むつみ)

翻訳家。
東北大学文学部(フランス文学専攻)、慶應義塾大学法学部(政治学科)卒業。
日経国際ニュースセンター、在日本スイス大使館科学技術部、
「ニューズウィーク日本版」翻訳者などを経て、現職。
訳書に『7つの階級──英国階級調査報告』(東洋経済新報社)、
『25年目の「ただいま」』(静山社)、
『背教のファラオ──アクエンアテンの秘宝』(河出書房新社)など。
全国通訳案内士(英語、中国語、フランス語)

<解説者紹介>
佐橋 亮(さはし・りょう)

東京大学東洋文化研究所 准教授。国際政治学者。
専門は米中関係、アメリカと東アジア、アジア太平洋の安全保障秩序と制度。
著書に『共存の模索:アメリカと「2つの中国」の冷戦史』(勁草書房)、
編著に『冷戦後の東アジア秩序:秩序形成をめぐる各国の構想』(勁草書房)。
訳書にアーロン・フリードバーグ『支配への競争:米中対立の構図とアジアの将来』(日本評論社)。
論文は日本語、英語、中国語にて多数。
日本台湾学会賞などを受賞。1978年、東京生まれ。

 

 

目次

ピーター・ムンクからの手紙

第1章 司会者ラッドヤード・グリフィスによる事前インタビュー
◎H・R・マクマスターとラッドヤード・グリフィスの対話
中国は自由で開かれた社会に対する脅威であり、競争相手 (マクマスター)
中国共産党は独裁的資本主義モデルが権力維持に不可欠と考えている (マクマスター)
中国は国際秩序を自分たちに同調するものに置換すべく動いている (マクマスター)
アメリカは国際秩序や価値観ではなく国益を守りたいだけではないのか?
南シナ海、債務の罠…中国は世界市民のふりをしているだけ (マクマスター)
◎マイケル・ピルズベリーとラッドヤード・グリフィスの対話
天安門事件は「年寄りがやったこと」で、いずれ改革は進むと考えていた (ピルズベリー)
表に出てこないタカ派が中国の政治の自由化を阻んでいる (ピルズベリー)
本音を隠して相手を欺くやり方は中国の文化の一部?
「トゥキディデスの罠」理論に賛成できない2つの理由 (ピルズベリー)
習近平が国家主席になれたのはタカ派にアピールしたから (ピルズベリー)
◎キショール・マブバニとラッドヤード・グリフィスの対話
新旧大国間で緊張が高まるのは歴史の常。貿易は真の問題ではない (マブバニ)
リベラルな国際秩序の特徴は主権とルール (マブバニ)
アメリカの政治制度は、経済成果を再分配する能力を失ってしまった (マブバニ)
リベラルな国内秩序と、リベラルな国際秩序を、区別して論じる必要性
「象が戦うときも、象が愛しあうときも、草は苦しむ」(スリランカのことわざ)
◎王輝耀(ヘンリー・ワン)とラッドヤード・グリフィスの対話
「アメリカ・ファースト」が問題の原因。中国は多国間協調主義を守っている (王)
自国の発展モデルでうまくいくなら中国はそのモデルで歩み続ける (王)
一帯一路とアジアインフラ投資銀行の目的、現状、影響
中国とアメリカは「協力的競争関係」にあるべき (王)

 

第2章 ディベート:CHINA AND THE WEST(中国と西側世界)
中国はリベラルな国際秩序に対する脅威か?
会場の事前投票では、76%が「中国はリベラルな国際秩序の脅威」と回答
◎オープニング・スピーチ
中国は統治モデルを輸出し、リベラルな国際秩序を弱体化させようとしている (マクマスター)
イデオロギー強化、党内粛清、新疆…30年間の支援は失望に終わった (マクマスター)
米国が築いたリベラルな国際秩序から中国はおおいに恩恵を受けてきた (王)
今度は中国が世界に貢献する番。一帯一路などはそのためのもの (王)
習近平は2011年に権力闘争に勝利。以来、タカ派寄りになった (ピルズベリー)
中国の方向を変えるには、タカ派に牢屋に入ってもらわねばならない (ピルズベリー)
中国は「力の均衡」への脅威であって「リベラルな国際秩序」への脅威ではない (マブバニ)
西側諸国以外の、世界の88%の人々は中国の勃興を歓迎している(マブバニ)
◎反論タイム
一帯一路を通じて中国はスリランカやベネズエラを属国化している (マクマスター)
一帯一路はベンチャー・キャピタル・プロジェクトのようなもの (王)
中国が急激に脅威化したのはこの10年。日本等の近隣諸国はよくわかっている (ピルズベリー)
中国人は以前より自由。外国に行き、自己選択で中国に帰国している (マブバニ)
リベラルな秩序の最大脅威がリベラルな社会(アメリカ)というパラドックス (マブバニ)
◎貿易問題
WTO/自由貿易体制の機能不全。原因はアメリカか中国か?
貿易は「試合場」に過ぎない。真の問題は米中両大国間の戦い (マブバニ)
全重要問題を2大国が決めるG2体制は心に留めておくべきビジョン (ピルズベリー)
◎軍事・安全保障面の問題
国際法違反(南シナ海)や買収・強制(エクアドル等)を中国はやめるべき (マクマスター)
国際法順守、力の不行使を主張するならアメリカが手本を見せるべき (マブバニ)
◎人権問題
中国の監視技術輸出を防がなければ世界全体の人権が損なわれる (ピルズベリー)
「自由と専制政治の争い」という問題設定はフェアではない (王)
米国の人権水準は高いが、格差拡大、拷問復活など、退化の兆しも (マブバニ)
西側も完璧ではないが、自国の欠点を自由に議論できる (マクマスター)
◎テクノロジーの問題
自国通信システムに中国共産党のアクセスを許すのは無責任 (マクマスター)
米企業・米国にも問題あり。必要なのは多国間ルールの作成 (マブバニ)
◎超大国ではない「より小さな大国」はどうすべきか
小さな大国は、たとえば中国のミサイル削減交渉への参加を促すことができる (ピルズベリー)
現在、多国間で、中国共産党の略奪的政策の代替案を準備中 (マクマスター)
超大国が多国間協定に背を向ける時代に小国を守るのはより強力な多国間秩序 (マブバニ)
◎最終スピーチ
中国がまだNo・2のうちに、米国が手本を示し、多国間秩序を強化しておくべき (マブバニ)
関税は米国を守るためではなく、中国を座につかせ回答させるためのもの (ピルズベリー)
中国にもう少し猶予をくれれば、もっとオープンで大きな市場になる (王)
中国の脅威に対して、「無抵抗」でも「戦争」でもなく、「会話」を (マクマスター)

◎投票結果
謝辞
ムンク・ディベートについて

 

解説 本書を的確に読み解くために 佐橋亮(東京大学東洋文化研究所 准教授)
米中関係の現状を「経済」「安全保障」「イデオロギー」の3層で考える
現状に至るまでの経緯
なぜ2017年から急に強硬になったのか?──中国が下地を作り、トランプが水門を開いた
トランプ以前の対中「関与」政策
関与政策はなぜ強固だったのか
強固な関与政策がなぜ崩れたのか
「関与と支援」から「競争と分離」へ
アメリカの対中批判にはおかしなところもある
それでも一番重要なのは「アメリカが政策を変えた」という現実を見ること
「現実を単純化しすぎた見解」「願望に基づく規範的な見解」に要注意
マクマスターは、今のアメリカ対中戦略の主流を体現
ピルズベリーは「異端」。だが、ワシントン全体の右傾化によって中心的人物に
マクマスターの考え方は「政策的」。ピルズベリーの考え方は「規範的」
マブバニは、世界の中にある、アメリカの対中強硬策に関する不満を表現
王輝耀は、ザ・中国
ディベート全体の設計が抜群
「リベラルな国際秩序」について
米中関係の現状
今後のアメリカ──米国内の動きをフローで見るべき
今後の米中関係
日本と日本人にとっての、このディベートの意義

 

討論者・司会者紹介

 

 

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