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『怖すぎる仏教──〈聖〉と〈性〉の日本史』
著:平野 純
『怖すぎる仏教──〈聖〉と〈性〉の日本史』

著:平野 純
刊行日:2022/7/4
四六判(128×188mm) 並製
296ページ。本文1色刷
ISBN:978-4-903063-96-6 C0015
1500円(税込1650円)

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仏教が輸入された6世紀以来、
この島国でくりひろげられてきた「聖」と「性」の相互刺激。
そのダイナミズムをたどる!

「セックスは不浄」というブッダの教えとは逆に、
なぜ日本では、仏教が広まるにつれ、
自由な性愛文化がますます花開いていったのか?
数々の文献をたどりながら、その謎をつぶさに解き明かす。

〈取り上げられる文献・事例〉
・巫女のひわいな祈祷に赤面する和泉式部
・如意輪観音を「レイプ」した道鏡
・僧侶と美少年の悲恋を描く『鳥部山物語』
・『理趣経』をもとに暴走する変態カルト教団「髑髏宗」
・鎌倉時代の禁断のポルノ絵巻『稚児草子』
・歌川広重が描いた江戸の娼婦の町・比丘尼宿
・『比丘尼御殿』(横溝正史)、『修羅雪姫 外伝』(小池一夫原作、池上遼一作画、上村一夫原案)etc.

 

<著者>
平野 純(ひらの・じゅん)
作家・仏教研究家。1953 年東京生まれ。東北大学法学部卒。 1982 年『日曜日には愛の胡瓜を』で第19 回文藝賞受賞。作家活動と並行して仏教文化を研究。インド仏教が日本の性愛の文化に与えた影響が近年の主要な探求のテーマである。著書に、『はじまりのブッダ』『謎解き般若心経』(以上、河出書房新社)、『村上春樹と仏教』『村上春樹と仏教U』、『「無常先進国」ニッポン』(以上、楽工社)、『裸の仏教』『ブッダの毒舌』(以上、芸術新聞社)、『怖い仏教』(小学館新書)など多数。

 


 

 

目次

第一章 尼さんは日本でなぜ色っぽいのか
男目線にさらされる尼さん/江戸の川柳が語る尼さん/比丘尼とは娼婦のこと/「比丘尼買い」にはまる江戸のフェチ男たち/名作漫画『修羅雪姫 外伝』と色っぽい比丘尼集団/歌川広重に描かれた比丘尼町/性的ファンタジーとして消費される女たち/戦国大動乱の美しき鬼っ子/気がつけば春を鬻ぐ芸能人に/ケンペルがみた歌う熊野比丘尼/熊野比丘尼、エロティックな歌をうたう/鬼畜すぎる江戸の売春事情とは/横溝正史『比丘尼御殿』のすごい中味/「お比丘尼様ァ!」の法悦の世界は地獄だった/日本の「聖」と「性」のあぶない関係はいつからか?
〔コラム@ 〕地獄の阿鼻叫喚/尼寺映画シリーズ


第二章 歴史が教える日本の尼僧がエロくなった背景とは
ブッダがもうけたセックス禁止規定/エロさとはほど遠かったインドの尼僧たち/蘇我vs.物部──仏教到来にゆれる朝廷/日本人は仏を神だと勘違いした/じつは無神論者だったブッダ/異国の神々に仕える巫女だと思われた尼僧/巫女とは「神事としてのセックス」にはげむ人のこと/エロショーと化した江戸時代の神楽舞/雑魚寝の古い意味は「集団乱交」/「淫風」に顔をしかめた古代のエリートたち/巫女のヒワイな祈祷に赤面した和泉式部/日本人は性の悦びに罪悪感をもっていなかった/日本人に仏教を誤解させた責任はインド側にも?
〔コラムA〕 発掘された人骨/トランスジェンダーの巫女!?


第三章 日本人、女神とのセックスに溺れる
仏像に精液をひっかける/交わらせてくれた憧れの吉祥天/弁財天に恋をした田沼家浪人の男/弁財天、男のしつこい要求にぶちきれる/裸弁天はいても裸吉祥天がいない訳とは/如意輪観音をレイプした道鏡/官能的すぎる如意輪観音像を見舞った昭和の災難/なぜ吉祥天は赤い蓮を身にまとうのか/とにかく色っぽすぎたヒンドゥーの女神たち
〔コラムB 〕ブッダのペニス隠し/仏教とキリスト教


第四章 日本中世に踊る「SEX教団」
弘法大師空海が輸入した新しい密教/タントラ経典がのせた「性愛革命の宣言文(マニフェスト)」/一休和尚が書いたポルノ詩集/美女の女陰に水仙が香る/「これのどこが仏教なのか!?」/一休、恋人のフィンガーテクニックを礼賛する/『理趣経』と暴走する変態教団/聖なる髑髏──日本版「黒ミサ」の流行/墓場で風変わりな髑髏をかき集める/「変態教団」らしいこだわりが盛りだくさん/求められた女神の分身としての役割
補論──血と死のインドの女神たち
〔コラムC 〕仏教と髑髏/世の無常のシンボル


第五章 日本の寺はボーイズラブの楽園だった
破戒僧の書いた誓文書/宣教師を驚かせた日本の僧侶たちの男色/都の美少年に目が釘づけ! /想いは通じ、ついに初夜の契りへ/「春の夜の短さがうらめしい」/相思相愛の二人に別れの時が──/愛は逢坂の関をこえて/「迷ったからこそ見られた月」を歌う/バイセクシャルの坊さんが詩を詠めば/男色と小児性愛(ペドフィリア)の線引きについて/古代ギリシャの男色との違いとは/比叡山の「稚児灌頂」をめぐって/観音の化身として犯された稚児/稚児がわきまえるべき閨の作法があった/「蓮の花」とは何をさす隠語か?/ 日本最古のポルノ絵巻『稚児草子』
〔コラムD〕 弁慶と牛若丸/日本中世屈指のBL物語


最終章 地獄とは何か
「自分の尻は自分で拭けよ!」/誰が誰を笑えるのか

各章の注
参照文献
おわりに

 

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